色彩と幻想の画家エミール・ノルデ

Emil_2色彩と幻想の画家エミール・ノルデ  北ドイツ・ゼービュルの光と風 

ドイツ表現主義の巨匠エミール・ノルデは、色彩豊かな美しい水彩画や版画に優れた作品が多いことでも知られている。
デンマークとの国境付近の地域に生まれ育ち、日本を含む東南アジアや南洋の島々など世界中を旅して作品にし、ベルリンなどの大都市でも活躍した。しかし、生涯にわたって故郷の低湿地帯のもつ独特な風景と風土を愛し、それを描き続けた。1927-37年には生地に近いゼービュルに自ら設計して邸宅を建て、以後、晩年までそこで過ごした。第二次世界大戦中にナチスから制作活動を禁じられたノルデが"描かれざる絵"として知られる小さな、しかし非常に魅力的な水彩画の数々を生み出したのも、この家でのこと。
ノルデの遺言に従って、季節ごとにさまざまな花が咲き乱れる庭とともに公開されることになった邸宅は、現在では彼の作品の質量ともに最も充実したコレクションをもつ美術館となっている。本展は、このゼービュルにあるノルデ美術館のコレクションから、水彩画、銅版画、木版画、リトグラフを合わせた121点を紹介。ノルデの芸術を包括する6つのテーマ(風景、人物、ダンス、花、幻想、描かれざる絵)に分けて、全貌を展観する。

実は、エミール・ノルデのことは、名前すら(^-^;知らなかったが、仲間に声をかけてもらい出かけることになった。

日本では23年ぶりのノルデの回顧展。油彩以上に水彩画によって色彩の表現力を追及した、ノルデの本質に接することができるまたとない機会となった。
展示室は照明が大変暗かった。作品保護のためだろうが、それがまた空気感に一役買っていた。近眼のため(゚ー゚;異様に作品に接近。この日は?ガラガラにすいていたのでじっくり鑑賞できた。

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「北フリースランドの夕景」制作年不詳 ポストカードより

風景のコーナーでいきなりインパクトのある作品に遭遇。真っ赤に染まった雲と藍色の大地。畑の畔と思われる水には夕焼けの赤が映っている。
身近かにありそうな懐かし気な景色でもあり、切なさが込み上げてきそうな心象風景でもある。詳細は描かれておらず、抽象画のようでもある。

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「黒い風車」 制作年不詳 ポストカードより

黄土色の上に重ねられたブルー。暮れたばかりの空。運河が、雲や風車の影を映す。ノルデが愛した故郷の低湿地帯。深緑とマリンブルーのなんとも清々しい色調と、黒の太い線。単純にも思えるこのような小作品に何故か惹きつけられる。人の心の奥底にある何かにリンクするのかもしれない。

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「黄色と緑による女の肖像」1930 ポストカードより

人物のコーナーで一番感動した作品。近づいてシゲシゲ...遠く離れてシギシゲ...
なんて美しいのでしょう。艶やかな肌、微笑を浮かべた安らかな表情。それらは決して緻密に再現されているのではない。数少ない色と、光と影の印象だけで描かれているのだ。原色を散りばめた点描ではないけれど、網膜で色が形成される感覚がある。正確な立体は再現されていないけれど、強い日差しを受けた人物が存在する。赤いリボン、赤い口紅がアクセントにな装飾的でもある。飽きずに眺めてしまった。

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「ケシ」制作年不詳 ポストカードより

花の絵は、どれも水彩ならではの滲みと勢いで描かれ、独特の生命感を感じた。中でも、画面をはみ出すほど大きな花びらの真っ赤なケシ。まるで血のような...鮮烈な色使いはインパクトがあった。

時代背景もあるのだろうが、ノルデの絵はどれも暗く悲しい。けれど、それはまた人間の根底にある何か普遍的なものなのかもしれないと思った。

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Dsc0072ドイツ表現主義とは、expressionismと表記されるように、impressionism(印象派)と対立する運動である。20世紀初頭のドイツが中心で、ノルデのほかに、マッケや初期のカンディンスキーなどもこの潮流の一員だった。
印象派は光と形態が画家の目にもたらす印象を画面に定着させようとした。その意味では具象的な絵をめざしたといえる。これに対し表現主義は、人間の内面に重きを置き、人間の内面と感情を形に表そうとした運動といえる。その結果、この流派の作品は情緒性が強く、観念的に傾く度合いが強いものだった。抽象絵画は、こうした流れの中から育ってきたといわれている。

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エミール・ノルデ(1867-1956)は、19世紀末から20世紀のドイツの画家。本名はエミール・ハンセン(Emil Hansen)で、ノルデは出身地の地名である。
ノルデの作風は同時代のドイツ表現主義の画家たちに共通するものがあるが、彼自身は特定のグループに属することを好まず、終始独自の道を歩んだ。

Dsc00769_2_61867年、デンマークの北シュレースヴィヒ地方のブルカルのノルデに生まれる。はじめ木彫を学び、続いてカールスルーエの工芸学校で学んだ。1899年パリに出て、アカデミー・ジュリアンに学んだこともある。1904年頃から「ノルデ」と名乗るようになる。
ノルデは1906年1月、ドレスデンのアルノルト画廊で個展を開いた。エルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナーら「ブリュッケ」のグループの画家たちは、ノルデに自分たちのグループに参加するよう要請した。しかし、元来孤独を好む性格のノルデは「ブリュッケ」には1年ほど所属しただけで脱退し、独自の道を歩んだ。
1909年には北ドイツのルッテビュルという村に定住し、以後『キリストの生涯』連作など宗教的な画題に取り組んだ。

Dsc00768_2ノルデの作品は原色を多用した強烈な色彩と単純化された形態が特色で、ファン・ゴッホやオセアニア美術の影響が感じられる。木版画や水彩画の名手でもあり、特に水彩は北ドイツの風景、草花などを題材にし、水彩という画材の持ち味を存分に生かしたもので、卓越した技術をもっている。
第一次世界大戦の敗戦に伴い、彼の故郷はデンマークに割譲された。また彼は弱小政党だったナチスの政策に共感するところがあり、1920年にはナチ党員となっており、ヨーゼフ・ゲッベルスは彼の水彩の花の絵を好んでいたという。

Dsc00771だが彼の非常に強烈な宗教画はしばしば「宗教への冒涜」「退廃芸術」という批判を浴び、ついに1937年、彼の作品はドイツ中の美術館から押収されて「退廃芸術展」に出展されさらし者にされた。ノルデはドイツ社会から非難を浴び、美術院から除名されて絵画制作や画材購入まで禁止・制限されるにいたる。
彼はこの間、極小サイズの水彩画「描かれざる絵」を秘密のうちに描きながら戦時下を過ごしていた。戦後はこれらの絵を改めて大きく描きなおす画業を再開し1956年に没した。

Kuronekomaysバーチャル展覧会作成! ノルデの世界 "花・空・人"

音楽はみゆきさん 「ひまわり "SUNWARD"」が思い浮かんだので^^

*追記:リニューアルバージョンに張り替えました* 向日葵いろいろのページ

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